2025/10/21森のアート〜のびるね〜

 東所沢保育園の年長さんが遊びに来てくれまた。森が生き生きと動き出し
たようです。オレンジ色のお揃い T シャツに赤い帽子がみるみる散らばって、すぐに遊び始めました。今日はお泊り保育後の力試しです。ホームグラウンドの保育園では出来ていることが、いつでもどこでも出来る力になっているか、子ども同士のつながりはどうか、力を合わせて取り組まなければ出来ないことが組み込まれていました。1日一緒に過ごした感想です。

 地面の下に隠れて見えないねっこを想像して描くアナログ画ですが、今回は共同作品です。到着して早々に荷物を置いたら、大きな和紙を前に、まず白い液体に手を付けて、紙に手形を押すところから始まりました。
 「この白いものは何?」「何の為にやるの?」先生たちも知りません。今回は墨でねっこを描くので、水墨画の白抜きを牛乳でやると言う、面白い手法を取り入れてみました。みんなの手形が白く浮き出し、色に変化が出ることを狙ってみました。
 子どもたちの制作ぶりは予想通り以上でした。線表現だけでは物足りなくなる子どもたちは、あるだけの墨液を塗り始めたり、(ドリッピング)アクション・ペインティングで有名なジャクソン・ポロックさながらに、筆を振り下ろして跳ねる軌跡を描いたり、10人一グループでも揉めることなく、立派な水墨画を描き上げました。木の根っこと言うより、木の下に流れるエネルギーのような描写になっていました。


 この後昼食のために「棒巻きパン」作りと昼食の後に続きで、墨絵の上にオイルパステルで彩色して仕上げました。思い思いの場所に、それぞれのタッチで、それぞれの思いで色が加わりました。墨の黒と色彩がとてもきれいで、「見てみて」と得意げに見せ合う姿がありました。大きな作品です。最後の仕立てはこの後保育園に帰ってから、この豪快な作品を少し鑑賞した後、一人ひとりで向き合い、楽しく完成させてください。見せてもらうのを楽しみにしています。

 私はアートの所に関わっていただけですが、随所に素敵な子どもの姿がありました。気の合う友達がいること、そんな中で一人ぼっちになっている子がいないこと、年長になると、ダメ出しの多い施設でみられるのですが、厳しい言葉のやり取りが気になることがあります。でも穏やかな関係に見えました。
そして、所々で助け合う姿も見られました。就学を前に、字の読み書き以前に、一人で出来る事と仲間や道具を頼って出来る事があることを経験している事で、教え教えられる関係を持っているか、子ども同士の関わりを見ていて、そんな力がついている様子が見られて嬉しくなりました。
 先生の集合(アートと、食事作りと、帰りの 3 回ほどでした)の合図の隙間に、ちゃんとやりたいこともやっている逞しい様子も見られました。広い森を思う存分駆け回る力の付いた体は、でこぼこの地面もへっちゃらで、転んだり怪我をする子もいませんでした。極め付きは、昼食でひと鍋作ったつもりのミネストローネが、足りなくなるほどの食欲に、おばあちゃんは花丸あげちゃいます。
 「大きな木が倒れないで立っているのは、地面の下に太い根っこがあるんだね。君たちはしっかり地面に立っているけれど、どこに根っこがあるのかな?」と問うと、足の裏を覗いてみる可愛い様子がありました。子どもたちの根っこは、6 年間の育ちの中で、心の中にしっかりと根を張っていると思います。